熱帯材を使わないために

熱帯材を使わないために

コンパネに注目

 以上のように、熱帯林が伐採されその伐採後にアブラヤシやアカシアの植林地になっていることから、熱帯材のみでなく私達が日常的に消費しているパーム油(アブラヤシから採取される)も、紙・パルプも、その使い方を考える必要があるといえましょう。これらのうち、SCCは、最も浪費的な熱帯材の使い方と思われること、他に取り組んでいる団体がないこと、かつても取り組んだ実績があること、しかしいまだにサラワクから産出されるコンパネが使用されている現状に憂慮するから、等の理由から、FoE Japan と共に主にコンパネに焦点を当てて自治体にその削減を求める取組みを始めました。

自治体キャンペーン

 1990年代、サラワク・キャンペーン委員会(SCC)は、他のNGOらと協力して全国の自治体に対してその公共工事に熱帯材不使用の方針を出すよう要請する「自治体キャンペーン」を展開しました。自治体を対象にした理由は、以下の通りです。

  • 工事内容に注文を付けられるのは当然ながら発注者である。公的機関が発注者であれば、環境に配慮して敢えて価格の高い代替品(多くの場合は針葉樹合板)を使うという判断ができる可能性がある。国の機関でも可能かもしれないが、国の方針を変えることは容易ではない。
  • 自治体は市民にとって身近であるので、全国どこででも働きかけができる。
  • 自治体は、熱帯材不使用を実行することで「環境に配慮している」ことを広報することができ、自治体にとってもメリットがある。

 自治体キャンペーンは数年間継続され結果として約160の自治体がそれに応えて熱帯材不使用の方針を出しました。中でも、コンパネの使用削減策を含めた「地球環境保全計画」を発表した東京都と、「1995 年に工事での熱帯材使用を70%削減」と具体的数値を示した神奈川県の前向きな姿勢は特に注目を集めました。これらの成果は、実際の使用削減には結びつくことはありませんでしたが、熱帯林破壊と熱帯材を浪費する日本の現状について広報効果がありました。

 現在、私たちの活動の対象は東京都と神奈川県です。両自治体ともに、1990年代の熱帯材使用削減方針の名残りと思われる熱帯材への配慮を示すガイドライン等を持っていますが、残念ながら現場では本来の熱帯材使用抑制のチェック機能を果たすような運用がされていないことが判明しました。今後これらが実効性を持つものとなるよう関係者への働き掛けを行っていきます。

間伐材合板の推奨

 林野庁は、公共工事における積極的な地域材(間伐材を含む)の活用推進に努めています。その中には国産材合板も含まれており、日本の合板メーカーが国内自給50%を目指して、従来のラワン等の南洋材型枠の性能等に劣らない間伐材等を活用した型枠用合板の技術開発、実証実験を行ってきており、JAS型枠用合板を製造するに至っていることを報告し、都道府県の公共工事の発注に際しての積極的な地域材(間伐材を含む)の活用を依頼する文書を平成24年8月より複数回出しています。この間伐材合板の利用を注視する必要があります。

また 日本合板工業組合連合会は、国産材を活用した型枠合板の普及に向けて以下の冊子をウェブ上で公開しています。

  • 「間伐材等国産材を使用した コンクリート型枠用合板の活用を」
  • 「地域材を使用したコンクリート型枠用合板の開発・普及について 事業成果普及版(平成30年1月)」